~汗に悩まない生活へ~
このページでは、体の汗が増える疾患の中でも、手足の汗やワキ汗に悩む方へ疾患のご説明を致します。
原発性局所多汗症とは
多汗症は全身の汗が増加する全身性多汗症と、部分的に増加する局所多汗症があります。
また、特に原因のないものを原発性、原因があるもの(結核などの感染症、甲状腺機能亢進症、内分泌代謝異常、薬剤性、Frey症候群など)を続発性と呼びます。
よって、原発性局所多汗症とは「温熱や精神的負荷環境でなくても大量の局所的な発汗があり、日常生活に支障をきたす状態」をいいます。
原発性局所多汗症の原因
原因は解明されていません。健康な人と比べて汗腺の数や大きさに変わりはなく、汗腺の機能亢進と考えられています。
人の発汗現象は温熱性発汗、精神性発汗、味覚性発汗の3つに分類されています。ワキの汗は体温冷却のための温熱性発汗、頭や顔の汗は脳冷却のための温熱性発汗や緊張した時の冷や汗である精神性発汗、手足の汗は精神的負荷や深呼吸、触刺激でおきる精神性発汗(睡眠で発汗が消える事から体温調節とは別と考えられています)、辛い食べ物に含まれているカプサイシンは、温度感受性受容体(TRPV1)を刺激する味覚性発汗を通した温熱性発汗と考えられています。原発性局所多汗症の方は、こういった刺激がある時に大量に発汗するのは勿論のこと、刺激がない時でも大量の発汗がみられる状態にあります。
原発性局所多汗症に悩む人々の統計
2020年に国内の60969人に行われたwebアンケート調査では、有病率は10%(10人に1人が原発性局所多汗症)、年代別では20~39歳にピークがみられ、手掌に関しては15〜29歳にピークがみられました。医療機関への受診経験率4.6%、受診継続率0.7%と、受診や治療を行えずに悩む方々が多くいる事が明らかです。
原発性局所多汗症の診断基準
Hornbergerらによる診断基準では、明らかな原因のない過剰な発汗が6か月以上続き、以下の6症状のうち2項目以上あてはまる場合を原発性局所多汗症と診断しております。
1.最初に症状が出たのが25歳以下
2.対称性の発汗
3.睡眠中は汗をかかない
4.週1回以上多汗のエピソードがある
5.家族歴がある
6.それらが日常生活に支障をきたしている
原発性局所多汗症の治療
治療は上の図のように行います。
当院では外用剤、内服薬、ボツリヌス毒素製剤の取り扱いがございます。当院の水曜日の自費診療ではボツリヌス毒素製剤の注射治療「多汗症ボトックス」を行います。治療については多汗症ボトックスのページをご覧ください。